個人型確定拠出年金は本当にお得か

個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)。

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老後資産形成のための資産運用制度で、運用益が非課税になったり、掛け金に応じて税控除が受けられたりといったメリットがあります。今年から加入対象者が拡大され、企業年金加入者や公務員なども加入が可能となったため、注目が集まっています。

 

個人型確定拠出年金の概要

毎月決まった額の掛け金を積み立てて、積立金を自分で運用します。

  • 運用資金は60歳以降、年金か一時金のかたちで受け取ることが出来ます。60歳になるまでは資金を引き出せない点、要注意です。
  • 積み立てた掛け金は全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。例えば年収500万で所得税20%、住民税10%を納めている人の場合、毎月1万円、年間12万円積み立てた場合、12万×(20%+10%)=3万6千円が節税となります!単利ですが確実に3割のパフォーマンスが得られる資産運用なんて、なかなかありません。
  • 資産運用によって利益が出た場合、通常は運用益に対して20.315%の税金が課せられますが、個人型確定拠出年金では非課税となります。
  • 積立金の受取は雑所得となって課税対象となりますが、一括で受け取る場合は1500万円まで非課税、毎年分割して受け取る場合は公的年金と合算して年120万円まで非課税となります。

掛け金全額が所得控除の対象になるのが一番大きいメリットですね。運用益の免税だけであれば、NISAでも可能ですし。

個人型確定拠出年金 vs 住宅ローン頭金

ただ、一つ悩ましいなと頭に浮かんだのが、この先やってくる予定の「住宅購入」という大きな買い物との兼ね合いです。住宅購入ではなるべく頭金を大きく払って、ローン金額を減らすことが鉄則、とよく聞きます。ところが、個人型確定拠出年金で積み立てていった場合そのお金は60歳まで引き出せないので、頭金に回せるお金を減らしていくことになってしまうんですよね。所得税・住民税の軽減以上にローンの支払額が多くなってしまうのであれば意味ないよなあ、ということでシミュレーションしてみました。

我が家は、息子が小学校に入学する5年後くらいのタイミングで家を買うかなあとぼんやり考えていますので、5年間個人型確定拠出年金で積み立てた場合と、そのお金を住宅購入の頭金に充てた場合とを比較してみました。ちなみに、毎月の掛け金は人によって上限が異なっていて、私のような企業年金に加入している会社員の場合、月の掛け金上限は1万2000円になります。

個人型確定拠出年金に積み立てた場合

掛け金毎月1万2000円、期間5年、所得税20%、住民税10%の場合。掛け金総額は1万2000円×12月×5年=72万円。所得税・住民税の減税額は72万円×30%=21万6000円になります。

3500万の住宅購入で頭金428万円、ローン3072万円を組んだ場合。

www.homes.co.jp

上記サイトで計算してみると、返済総額は3816万7534円、毎月支払額は10万6021円になります(返済期間30年、全期間金利1.5%)。

頭金に回した場合

個人型確定拠出年金にお金を回さないので、当然減税額は0万円です。

上記の掛け金総額72万円を頭金に充てて、3500万円の住宅購入で頭金500万円、ローン3000万円を組んだ場合。返済総額は3727万2983円、毎月支払額は10万3536円になります(返済期間、金利同条件)。個人型確定拠出年金に回した場合と比べて返済総額は89万4551円も安くつき、これは上記の減税メリット額(21万6000円)を大きく上回っています。

頭金に回したほうがお得

なんと、個人型確定拠出年金ではなくローン頭金に回したほうが67万8551円もお得になるという結果でした。ちなみに金利2.5%で計算してみると、当然差はより広がって、ローン頭金に回したほうが80万8153円お得になります。

住宅購入に充てる予定の資金は、NISAで運用したほうが良さそうです。

迂闊なことに、もう個人型確定拠出年金の申し込みしてしまいました…。早く始めないと損と思い込んで、急いでしまいました。掛け金の一時停止は申し込めるのですが、無駄に口座管理手数料とかが発生してしまいます。ああ、失敗したなあ。

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